はじめに
家づくりを考え始めると、間取り図や住宅カタログで目にする「延床面積」や「施工面積」という言葉。
似たような単位に見えて、実はまったく違う意味を持っています。
「この家は30坪って書いてあるけど、実際の広さはどのくらい?」
「延床面積が小さくても施工面積が大きいことってあるの?」
「固定資産税に関係あるのはどっち?」
こんな疑問を抱いた方のために、今回は住宅の面積にまつわる基本用語をわかりやすく解説します。
実際に注文住宅を建てた経験をもとに、「あの時こう知っておけばよかった…」とならないための情報をまとめました。
延床面積と施工面積の違いを一言でいうと?
延床面積は「家の中の居住スペースの広さ」。
施工面積は「建築会社が施工対象とするすべての床面積(≒工事対象の面積)」です。
延床面積の方が狭く表示されることが多く、
施工面積にはバルコニー・玄関ポーチ・吹き抜けなどの“実際には住まない部分”も含まれる場合があります。
延床面積とは?【税金やローンで重要】
◎ 延床面積の定義
延床面積とは、建物の各階の「壁で囲まれた内側の面積(床面積)」を合計したもの。
玄関・廊下・トイレ・収納・階段など、生活に使う空間はすべて含まれます。
◎ 含まれない代表例
- バルコニー(2m未満の奥行き)
- 吹き抜け
- ロフト(高さ制限あり)
- カーポート、ウッドデッキなど外部構造物
◎ どんな場面で使う?
- 建築確認申請
- 住宅ローンの借入審査
- 固定資産税評価
- 不動産広告やハウスメーカーの営業資料
施工面積とは?【工事費の目安や坪単価の計算に使われる】
◎ 施工面積の定義
施工面積は、建築会社が施工対象として工事する「建物全体の床面積」。
厳密な定義はありませんが、ハウスメーカーが費用計算の目安として使う社内基準です。
◎ 含まれることが多い例
- 吹き抜け(床がなくても空間として施工対象)
- バルコニー
- 玄関ポーチ
- ウッドデッキ
- ロフト
- インナーガレージ
◎ どんな場面で使う?
- 坪単価を出すとき(建物本体価格 ÷ 施工面積)
- ハウスメーカーの見積もりやパンフレット
- 「建物は30坪です」と言われた時、それが施工面積か延床面積かで話が変わります。
よくある誤解「坪単価が安い家=コスパがいい」とは限らない
ハウスメーカーの広告で「坪単価○万円!」と書いてあるのはほとんどが施工面積ベース。
でも、住む人にとって重要なのは「どれだけ広い空間で暮らせるか=延床面積」。
つまり、吹き抜けやバルコニーを大きく取って延床面積を抑えれば、
坪単価は安く見えるけど、実際に住める面積は狭いというトリックが発生します。
我が家の実例:延床面積より施工面積が4坪も広かった話
うちの家の場合、延床面積は約33坪だったんですが、施工面積は37坪超でした。
主な差は、
- 吹き抜け(リビング天井が高くて床はない)
- インナーバルコニー(半屋外)
- 玄関ポーチ+庇の面積が含まれていた
建築会社の見積もりに「坪単価〇万円」と書いてあっても、
それが施工面積ベースだと“実質の広さ”とはズレが出るので注意が必要です。
延床面積・施工面積・建築面積の違いをまとめた図解
用語 | 意味 | 含まれる要素 | 主な使われ方 |
---|---|---|---|
延床面積 | 居住スペースの合計 | 室内の床全体(居住空間) | 税金・ローン・広告など |
施工面積 | 工事対象の広さ | 室内+吹き抜け+バルコニー等 | 坪単価・見積もり |
建築面積 | 建物を真上から見た面積(1階部分) | 建物の外周(軒下含む) | 建ぺい率の算出など |
最後に:間取りの広さは「数字」だけでなく「感覚」も大事
設計図を見るときは「この面積でどれだけ広く感じるか」も忘れずに。
同じ延床30坪でも、無駄な廊下が少なかったり、天井が高かったりすると全然違います。
坪数や面積の数字だけにこだわらず、実際にどんな空間になるかをイメージしながら家づくりを進めることが、満足度の高い住まいをつくるコツです。
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