こんにちは、はちぱん住宅ラボのはるです。
一条工務店 → 住友林業 → 一条工務店と、これまでに3回家を建ててきました。
今の家で一条は2回目です。
同じメーカーをもう一度選んだ理由も含めて、実際に住んでわかったことを書いています。
数字や寸法は、できるかぎり自分で測ったものを載せています。
こんにちは、はちぱん住宅ラボのはるです。
一条工務店 → 住友林業 → 一条工務店と、これまでに3回家を建ててきました。
今の家で一条は2回目です。
同じメーカーをもう一度選んだ理由も含めて、実際に住んでわかったことを書いています。
数字や寸法は、できるかぎり自分で測ったものを載せています。
一条工務店の外壁について調べていくと、正反対のことを言う2つの情報にぶつかります。
ひとつは「ハイドロテクトタイルは塗り替えが不要」という説明。
もうひとつは「タイルの家でもいずれ塗装は必要になる」という説明です。
どちらも、それを言う側に立場があります。
前者は家を建てる側、後者は外壁を塗る側です。
足りていないのは、住んでいる側が中立に費用を計算した情報です。
この記事では、人気の色と2色の決め方を先に整理し、そのうえで最大の争点である30年でいくらかかるのかを試算します。
結論を先に置いておきます。
| 本当の論点 | タイルではなく目地のシーリング。タイル自体は60年相当でも、目地は30年で打ち替えを想定する |
|---|---|
| 30年でかかる額 | タイルの家は合計115万円ほど、塗り替えが要る家は合計240万円ほど(後述の試算) |
| 差額 | 約125万円。月あたりにすると約3,500円の差 |
| 人気の色 | グレー系。ただし黒とグレーは建ってしまうと見た目がほとんど変わりません(両方に住んだ実感) |
| 色でいちばん多い失敗 | 小さなサンプルで決めること。屋外の大判サンプルで見ないと色は分からない |
| 2色にするなら | 切り替えは建物の角で。平屋は上下ではなく面ごとの貼り分けが自然 |
| 穴あけ | 引き渡し後に外壁へ穴を開けると、その部分が保証の対象外になり得る。フック類は引き渡し前に頼む |
はちぱん


まず全体像を押さえます。
一条工務店で選べる外壁は、大きくタイル系とサイディング系の2系統に分かれます。
どちらが標準でどちらがオプションになるかは、商品シリーズと契約した時期によって変わるため、ここでは仕組みのほうを説明します。
一条工務店の外壁といえば、まず名前が挙がるのがハイドロテクトタイルです。
これは磁器質のタイルの表面に、光触媒の層を焼き付けたものです。
仕組みは2段階で理解すると分かりやすくなります。
1段階目は分解で、日光が当たると表面の光触媒が反応し、付着した油分などの汚れを分解します。
2段階目は洗い流しで、光が当たった表面は水になじみやすい性質に変わり、雨が降ると水が汚れの下に入り込んで、汚れを浮かせて流します。
つまり、日光と雨という条件がそろって初めて働く仕組みです。
ここは誤解が生まれやすいところで、北面や、庇の下、日光が届かない部分では効果が出にくいという前提があります。
実際、北側の壁は他の面より汚れが残りやすいという声が施主のあいだでは共通しています。
それでも、住み始めてからの手入れがほとんど要らないのは大きな利点です。
わが家では外壁の掃除らしい掃除をしたことがなく、年に1回、駐車場を洗うついでにホースで下のほうを流している程度です。
ここに時間もお金もかけていません。
もうひとつ、光触媒には空気中の汚れを分解する働きもあるとされていますが、これは家1棟の効果として体感できるものではありません。
採用を決める理由にするなら、汚れにくさと塗り替えの不要さの2点で判断するのが現実的です。
タイル以外の選択肢が、吹き付けや塗り壁調のサイディングです。
初期費用を抑えたい場合や、タイルでは出せない質感を求める場合に選ばれます。
ここで押さえておきたいのが、サイディングの表面は塗膜で守られているという点です。
塗膜は紫外線と雨で少しずつ劣化し、色あせ、チョーキング(触ると白い粉がつく状態)、ひび割れという順で症状が出ます。
放置すると、下地の建材そのものが水を吸い始めます。
| タイル系 | サイディング系 | |
|---|---|---|
| 表面の寿命 | 60年相当(焼き物なので色あせない) | 10〜15年で塗り替え |
| 初期費用 | 加算される | 抑えられる |
| 汚れ | 雨で落ちやすい | 付着したまま残りやすい |
| 目地のシーリング | 30年で打ち替え | 10〜15年で打ち替え |
| 質感 | 重厚。凹凸がある | やわらかい。塗り壁調も選べる |
| 重さ | 重い | 軽い |
わが家の場合、一条の前に住んでいた住友林業の家が吹き付けの塗り壁でした。
質感は本当に良くて、今でもあの外観は好きです。
ただ4年で手放したので、塗り替えの時期を迎える前に離れてしまいました。
費用を実際に払った経験がないぶん、この記事の試算では業者の一般的な単価を使っています。
選び方としては、その家に何年住むつもりかで答えが変わります。
10年前後で住み替える可能性が高いならサイディングの初期費用の安さが効きますし、終の住処にするならタイルの塗り替え不要が効きます。
わが家は平屋で建てていて、住み替える予定がありません。
そのため、初期費用が上がっても手のかからないほうを選びました。
ここからは、見た目の話です。
外壁の色は、住んでから10年以上、毎日目に入り続けます。
そして後から変えるのが最も難しい部分でもあります。
選べる色は、時期と商品によって入れ替わります。
長く定番だったのは、白系、ベージュから茶系、ピンク系、オレンジ系といったラインです。
そこに近年、グレー系や黒に近い濃色が加わり、選択肢が一気に現代寄りになりました。
いま人気が集まっているのは、はっきりとグレー系です。
理由は3つあると見ています。
白系も根強い人気があります。
光をよく返すので家が大きく見え、屋根が濃い色だとコントラストが締まります。
ただし泥はねと、雨だれの筋は白がいちばん目につきます。
ここからが、実際に両方を見た側の話です。
わが家はハイドロテクトタイルの黒を選びました。
そして1回目の一条の家はグレーでした。
そのうえで正直に書きます。
建ってしまうと、黒とグレーの見た目はそれほど変わりません。
サンプルを並べれば違いははっきりしています。
けれど屋根がのって、サッシが入って、外構ができて、日が当たって影が落ちる。
そこまで揃うと、両者の差はサンプルで見たときほど大きくは感じられませんでした。
これは色選びで消耗している方に、いちばん伝えたいことです。
濃色系のなかで迷っているなら、どれを選んでも大きくは外しません。
迷う時間は、外構や玄関ドアとの組み合わせに使ったほうが、仕上がりへの効き方が大きくなります。
ついでに書いておくと、グレーはわが家が契約したあとに選べるようになった色です。
発表を見たときは、正直に言えば少し羨ましく思いました。
それでも実物を見比べた結論は、いま書いたとおりです。
契約後に新色が出ても、気に病む必要はありません。
色選びで起きる失敗は、ほとんどが同じ原因です。
打ち合わせ室の机の上で、手のひらサイズのサンプルを見て決めてしまうことです。
2つの現象が同時に働きます。
ひとつは面積効果で、同じ色でも面積が大きくなるほど、明るい色はより明るく、暗い色はより暗く見えます。
サンプルで「ちょうどいいグレー」を選ぶと、建った家は思っていたより白っぽく感じられます。
もうひとつは光源の違いです。
室内の照明の下と、屋外の太陽光の下では、色の見え方が変わります。
とくにグレーは、光源によって青みが出たり茶色く転んだりしやすい色です。
対策は決まっています。
わが家では、打ち合わせで大判のサンプルを借りて自宅に持ち帰り、屋外に立てかけて何日か眺めました。
あわせて、同じ色で建っている家を見に行っています。
この2つをやったので、引き渡しのときに色で驚くことはありませんでした。
担当者にお願いすれば大きめのサンプルは用意してもらえるので、遠慮せずに頼んでください。
もうひとつ、見落とされがちな視点があります。
家の外観を決めているのは外壁だけではない、ということです。
実際に目に入る色は、少なくとも5つあります。
このうち外構だけは、打ち合わせの時期がずれます。
外壁を決める時点では外構の話が始まっておらず、外構を決める時点では外壁がもう変えられない、という順番になりがちです。
結果として、外壁と外構がちぐはぐな家が生まれます。
これを避けるには、外壁の色を決める段階で、外構のイメージ写真を何枚か手元に置いておくことです。
門柱を白にするのか黒にするのか、床をコンクリートにするのかタイルにするのか、植栽をどれくらい入れるのか。
そこまで仮に決めてから外壁を選ぶと、後の調整が楽になります。
費用感を含めて先に見ておきたい方は、外構にいくらかかったかをまとめた記事が参考になります。
サッシの色も効きます。
黒いサッシは輪郭が締まりますが、白い外壁だと線が強く出ます。
グレー系の外壁なら、黒サッシでも白サッシでも破綻しにくく、この扱いやすさもグレーが選ばれる理由のひとつです。
外壁の色でよく相談されるのが、2色にするかどうかです。
組み合わせ次第で外観の印象は大きく変わりますが、失敗したときの落差も大きくなります。
判断の軸を整理します。
2色にする場合、組み合わせ方は大きく3つに分かれます。
| 組み合わせ | 印象 | 難易度 |
|---|---|---|
| 同系色の濃淡(薄いグレー+濃いグレー) | 落ち着く。上品にまとまる | 低い |
| 無彩色どうし(白+黒、白+濃いグレー) | くっきり。現代的 | 中くらい |
| 色みの違う2色(白+茶、グレー+ベージュ) | やわらかい。個性が出る | 高い |
迷ったときは同系色の濃淡を選ぶのが安全です。
色みがそろっているので、光の当たり方が変わっても関係が崩れません。
貼り分ける位置にも定石があります。
上下で分ける場合は、下を濃く、上を薄くすると重心が下がって安定します。
逆にすると、上が重く見えて落ち着きません。
もうひとつが、面ごとに分けるやり方です。
玄関のある面だけ色を変える、あるいは出っ張った部分だけ色を変えると、貼り分けの線が建物の形と一致するのできれいに見えます。
建物の形と関係のない位置で色を切ると、途中で終わったように見えます。
面の切り替えは、建物の角か、形が変わるところで行ってください。
なお平屋は、2階建てほど2色が映えません。
上下に分けるだけの高さがないので、選ぶなら面ごとの貼り分けになります。
わが家が1色にしたのも、平屋で上下に分ける意味が薄いと判断したからです。
間取りと外観の関係は、平屋の間取りをまとめた記事にも書いています。
費用面も見ておきます。
タイルを2色にする場合、追加費用がかかるケースと、かからないケースの両方があります。
ここは時期と商品で扱いが変わるので、担当者に確認するしかありません。
費用が発生する主な理由は施工の手間です。
色ごとに材料を分けて管理し、境目で貼り分けの処理が入るので、単色よりも工数が増えます。
「見積りに出ていないから無料」と思い込まず、2色にしたいと伝えた時点で、追加になるかどうかを確認してください。
将来の手間についても触れておきます。
2色にしたからといって、後述する30年目の目地の打ち替えが高くなるわけではありません。
シーリングは色に関係なく総延長で計算されるので、ここは単色と変わりません。
気をつけたいのは、部分的な補修が必要になったときの色合わせです。
タイルは焼き物なので、同じ品番でも製造ロットが違うと微妙に色が変わります。
数十年後に一部だけ張り替えると、その部分だけ浮いて見える可能性があります。
これは単色でも起きますが、2色の家では境目の近くで起きたときに目立ちやすくなります。






ここからはお金の話です。
外壁タイルの費用の出方には、知っておくと見積りが読みやすくなる特徴があります。
ここを理解しておくと、後半の30年試算の意味もつかみやすくなります。
外壁タイルがオプション扱いになる場合、加算のされ方は延床の坪数×単価という形が基本です。
施主のあいだで語られている水準をならすと、30坪台の家で30万〜60万円ほどの追加になります。
この幅が大きいのは、単価そのものが時期で改定されているのと、商品シリーズによってはタイルが標準に含まれているためです。
同じ「一条工務店で建てた人」の話でも、契約年が違えば金額はそろいません。
金額の目安として持っておくのはよいのですが、自分の見積りは担当者に出してもらってください。
もうひとつ、見落とされやすい点があります。
タイルとサイディングでは耐久性そのものに差がない場合があるということです。
標準で選べるタイルとオプションのハイドロテクトタイルを比べると、焼き物であるという点は同じなので、タイル自体が60年相当もつという性質は、標準のタイルでも変わりません。
つまりオプション代で買っているのは寿命ではなく、汚れにくさと色柄の選択肢です。
ここを取り違えると、「60年もつためにオプションを払う」という判断になってしまいます。
実際には「30年後に外壁が薄汚れて見えるかどうか」にお金を払っている、という理解のほうが実態に近いはずです。
オプションの優先順位で迷っているなら、住んでから振り返った順位も参考になります。一条工務店のオプションで後悔したものと満足したものをランキング形式で書いた記事もあわせて読んでみてください。
ここからが、わが家の条件だからこそ計算しておきたかった部分です。
同じ延床33坪でも、平屋と2階建てでは外壁の面積がまったく違います。
33坪は109.1平方メートルです(33×3.3058)。
これを正方形に近い形と仮定して計算します。
| 平屋33坪 | 2階建て33坪 | |
|---|---|---|
| 1階の床面積 | 109.1平方メートル | 54.5平方メートル |
| 建物の一辺 | 10.44メートル | 7.38メートル |
| 外周 | 41.8メートル | 29.5メートル |
| 壁の高さ | 約2.9メートル | 約5.8メートル |
| 外壁面積 | 約121平方メートル | 約171平方メートル |
計算は単純です。
平屋は41.8×2.9で約121平方メートル、2階建ては29.5×5.8で約171平方メートル。
平屋の外壁面積は、同じ延床の2階建ての約7割です(121÷171=0.71)。
ここで面白いねじれが起きます。
初期のオプション代は延床の坪数で決まるので、平屋でも2階建てでも同じです。
ところが将来のメンテナンス費は外壁の面積で決まるので、平屋のほうが3割ほど軽くなります。
足場の費用も同じ理屈で下がります。
足場は面積で計算されるうえ、平屋は2階建てより低いので設置も簡単です。
つまり平屋は、外壁のオプション代を割高に払って、外壁のメンテ代を安く回収するという構造になっています。
逆に、屋根と基礎は平屋のほうがおよそ2倍になります。
外壁だけを見て平屋が有利と言い切ることはできないので、この記事の話は外壁に限った比較として受け取ってください。
面積の数え方そのものが気になる方は、延床面積と施工面積の違いを整理した記事を先に読むと、見積りの読み方が変わります。






ここがこの記事の中心です。
「タイルはメンテナンスフリー」でも「タイルにも塗装は必要」でもなく、現実の論点は目地のシーリング1点です。
この節で、その根拠と金額を押さえます。
外壁を1枚の板だと思っていると、この話はいつまでも噛み合いません。
実際の外壁は、タイルが貼られたパネルを何枚も並べて、そのつなぎ目をゴム状の充填材で埋めた集合体です。
つまり、寿命の時計が2つ動いています。
タイルが無傷でも、目地が切れれば壁の内側に水が入ります。
だから30年目に必要になるのは「塗装」ではなく「打ち替え」です。
この違いは、あとで見積りを取るときに決定的な差になります。
ここで注意点をひとつ。
シーリングは、外壁のパネル間だけでなくサッシまわりにも入っています。
サッシまわりは日当たりと熱の影響を受けやすく、パネル間より先に痩せることがあります。
30年を待たずに、10年目と20年目の定期点検で、サッシまわりの目地を目視で見てもらってください。
切れているところだけ部分補修すれば、費用は数万円で収まります。
床暖房の配管が50年相当なのに熱源機は10年程度で交換の話が出るのと、構造としては同じです。
長寿命の部材と、消耗する部材が1つの設備の中に同居しているという見方は、一条の全館床暖房のコストを整理した記事でも同じ形で出てきます。
金額の話に入ります。
タイル外壁の家について、30年目に修繕を推奨され、その費用は現時点で70万円弱という水準が、一条で建てた人のあいだで共有されています。
この数字は、実際に一条で建てた施主が打ち合わせで受けた説明として共有されているものです。
さらに、30年後の実施時には人件費も上がっているので、100万円弱になる可能性があるという見立ても添えられます。
これは根拠のない上乗せではなく、建築の人件費が上がり続けている以上、現実的な見方です。
70万円弱という数字の中身を、単価から逆算してみます。
先ほど計算した平屋33坪の外壁面積121平方メートルで見積もると、次のようになります。
| 項目 | 数量と単価 | 金額 |
|---|---|---|
| 足場 | 架面積 約150平方メートル×1,100円 | 約17万円 |
| 高圧洗浄 | 121平方メートル×250円 | 約3万円 |
| 目地の打ち替え | 約150メートル×1,200円 | 約18万円 |
| サッシまわり補修・雑工事 | 一式 | 約8万円 |
| 諸経費・管理費 | 上記の約15% | 約7万円 |
| 小計 | 約53万円 |
単価だけを積み上げると53万円ほどで、70万円弱には届きません。
差の17万円ほどは、屋根やバルコニーの防水、雨樋、点検作業などが一緒に見込まれていると考えるのが自然です。
30年目に足場を組むなら、外壁だけ直して屋根を触らないのは非効率なので、まとめて提案されるのは理にかなっています。
ここで言いたいのは「一条の見積りが高い」ではありません。
70万円弱には外壁以外も含まれている可能性が高いので、見積りが出たら内訳を分解して読むべきだということです。
外壁の目地だけなら、金額はもっと小さくなります。
したがってこの先の試算では、タイル側の70万円に屋根やバルコニーのぶんが含まれている点を先に断っておきます。
塗り替えが要る家も30年目には同じ屋根の工事が発生するので、外壁だけで比べれば、差はこのあと出す125万円よりさらに開きます。
検索していると、外壁塗装の会社が書いた「ハイドロテクトタイルにも、いずれ塗装が必要になる」という記事に行き当たります。
これを頭ごなしに否定するのも、そのまま受け入れるのも、どちらも違うと考えています。
まず、正しい部分です。
光触媒の層は表面のコーティングなので、何十年も経てば働きが落ちていきます。
汚れが落ちにくくなったと感じる時期は、いつかは来ます。
ここは事実として認めるべきです。
次に、ずれている部分です。
光触媒の働きが落ちることと、塗装が必要になることは同じではありません。
塗装が必要になるのは、表面が水を吸い始めて建材そのものが傷む場合です。
磁器タイルは水をほとんど吸わないので、汚れが落ちにくくなったとしても、それは見た目の問題であって防水の問題ではありません。
そして、いちばん大事な点があります。
タイルの上に塗装をすると、光触媒の働きは完全に失われます。
タイルの質感も塗膜で埋まります。
そのうえ塗膜には寿命があるので、一度塗ってしまうと、以後は10〜15年ごとの塗り替えサイクルに家が乗ってしまいます。
60年もつはずの外壁を、塗ることで15年サイクルの外壁に変えてしまう。
これがこの選択の本質です。
汚れが気になってきたときの最初の手は、塗装ではなく洗浄と、切れている目地の部分補修だと考えてください。






ここまでの数字を、家計の話に落とし込みます。
タイルの外壁と、塗り替えが必要な外壁を、30年という同じ物差しで並べます。
数字はすべて目安ですが、置いた前提はすべて本文に書いてあるので、自分の条件に置き換えて計算し直せます。
まず、塗り替えが必要な外壁のほうから計算します。
30坪台の一戸建てで、外壁塗装を1回行うときの内訳はおおむね次のようになります。
合計すると、1回あたり110〜130万円。
この記事では中央をとって120万円で計算します。
塗り替えの周期は、使う塗料で変わります。
安いアクリルやウレタンなら8〜10年、標準的なシリコンで10〜15年、フッ素や無機なら15〜20年です。
ここでは中間をとって15年ごととします。
すると30年で15年目と30年目の2回、合計240万円です(120万円×2回)。
ここは有利なほうに寄せた前提だという点に注意してください。
10年ごとに塗り替える家なら、30年で3回。
120万円×3回で360万円になります。
つまり240万円という数字は、塗り替えが必要な外壁にとって好条件の見積りです。
次にタイル側です。
初期のオプション費用を、先ほどの30〜60万円の中央である45万円とします。
30年目の修繕は、説明されている水準の70万円を使います。
15年目には足場を組む工事が発生しないので、ここはゼロです。
| 時期 | タイルの外壁 | 塗り替えが要る外壁 |
|---|---|---|
| 建てるとき | 45万円 | 0円 |
| 15年目 | 0円 | 120万円 |
| 30年目 | 70万円 | 120万円 |
| 30年の合計 | 115万円 | 240万円 |
| 月あたりに直すと | 3,194円 | 6,667円 |
※タイル側の70万円には屋根やバルコニーの防水も含まれているのに対し、塗り替え側の120万円は外壁の工事だけの金額です。
外壁どうしで比べれば、差はここに出した125万円よりさらに開きます。
差額は125万円です(240万円-115万円)。
月あたりに直すと、115万円÷360か月で3,194円、240万円÷360か月で6,667円。
その差は月3,473円です。
ここにもうひとつ、住宅ローンの視点を足します。
初期のオプション45万円は、多くの場合そのまま住宅ローンに乗ります。
金利0.7%・35年(420回)で45万円を借りた場合、月々の返済は約1,210円、総返済額は約50.7万円です。
つまり利息が約5.7万円ぶん上乗せされます。
これを差額から引くと、125万円-5.7万円で約119万円。
利息まで含めても、30年で100万円を超える差が残ります。
そして繰り返しになりますが、この試算は塗り替えを15年ごととした、塗り替え側に有利な前提で出しています。
なお30年で切ったのは、目地の打ち替えが1回で済む区切りだからです。
60年まで伸ばすと、タイル側は60年目にもう1回の打ち替えが加わる一方、塗り替え側は45年目と60年目の2回に加えて、建材そのものの張り替えが視野に入ります。
差はさらに開きますが、そこまで先の単価は誰にも読めないので、この記事では30年で止めておきます。
ここからが、この記事でいちばん役に立つ部分だと考えています。
30年後に70万円と言われると身構えますが、30年あるという事実のほうが重要です。
単純に割ってみます。
70万円÷360か月=1,945円。
将来の値上がりを見込んで100万円で計算しても、100万円÷360か月=2,778円です。
つまり月3,000円を別口座に置いておけば、30年後の外壁修繕は現金で払えます。
この金額なら、家計の中で動かせる範囲に収まる家庭が多いはずです。
実務的なやり方を書いておきます。
引き渡しの月に、住宅の修繕専用の口座を1つ作ってください。
そこに毎月自動で振り替える設定をして、以後は見ないようにします。
外壁だけでなく、給湯器の交換や蓄電池の更新も同じ口座から出す前提にするなら、月1万円まで積むと安心感が変わります。
逆に言えば、この積み立てをしていない家は、外壁材の種類にかかわらず30年目で困ります。
タイルを選んだから安心という話ではなく、タイルを選ぶと積立額が月3,000円で済み、塗り替えが要る家だと月7,000円必要になる、という差だと考えてください。
維持費という意味では、毎月の電気代と同じ枠で管理するのがおすすめです。
最後に、住み始めてから多くの人がぶつかる問題です。
サンシェードを付けたい、物干しを増やしたい、防犯カメラを設置したい。
いずれも外壁に穴を開ける話になります。
先に結論を書きます。
引き渡し後に施主の判断で外壁へ穴を開けると、そこから雨水が入った場合の不具合は保証の対象外になり得ます。
外壁は、防水の層とタイルの層が重なった構造物です。
穴を1つ開けるということは、その防水層に穴を1つ開けるということです。
だからこそ、必要になりそうなものは引き渡し前に依頼しておくのが原則になります。
建築中なら、下地の位置を確認したうえで、防水処理まで含めて正しく施工してもらえます。
引き渡し前に検討しておきたいものを挙げます。
わが家は引き渡し前に、サンシェード用のフックを2か所つけてもらいました。
金額としては小さな話ですが、この2か所があるかないかで、夏の西日の入り方がまったく違います。
迷ったら、付けておくほうを選ぶのがよいと考えています。
外壁のフックは、あとから足すのがいちばん面倒なものの1つです。
とはいえ、住んでみないと分からないこともあります。
引き渡し後に外壁へ何かを付けたくなったときの選択肢を、リスクの低い順に並べます。
1番の「穴を開けない方法」は、思っているより選択肢があります。
たとえば日よけなら、窓枠の内側で突っ張るタイプにすれば外壁に触れずに済みます。
外壁の保証を気にしながら暮らすより、こちらのほうが精神的にも楽です。
自分で開けるのをおすすめしない理由は、保証だけではありません。
タイルは硬く、一般的な木工用のドリルでは穴が開かないからです。
専用の刃が必要で、力を入れすぎるとタイルが割れます。
そして割れたタイルは、同じ色の在庫が残っていなければ、きれいには直りません。
あわせて、磁器タイルには磁石が付かないという点も覚えておいてください。
マグネット式の便利グッズは、外壁には使えません。
物干しやサンシェードを後付けしたいなら、穴を開ける以外の方法で成立させられないかを最初に考えるのが、いちばん損をしない進め方です。
打ち合わせの場や、住み始めてから聞かれることの多い質問をまとめます。
色の変更期限、日々の手入れ、そして地震のときの心配という、時期の違う3つを取り上げます。
どれも判断を間違えると費用に跳ね返る部分です。
原則として変えられないと考えてください。
着手承諾は、仕様を確定して発注に進むための手続きです。
外壁のタイルは発注してから手配される部材なので、承諾後の変更は難しくなります。
タイミングによっては相談できる余地が残っていることもありますが、変更できる前提で進めないことが大切です。
色に迷いが残っているなら、着手承諾を先に延ばしてでも、実物を見て決めきってください。
おすすめしません。
高い圧力を近距離で当てると、目地のシーリングを傷めます。
この記事で書いてきたとおり、外壁でいちばん寿命が短いのが目地です。
そこを自分で削るのは、費用の面でも割に合いません。
汚れが気になるときは、ホースの水を上から下へ流すだけで十分です。
それでも落ちない汚れがある場合は、やわらかいブラシで軽くこすってください。
洗剤を使う場合は、酸性やアルカリ性の強いものは避けてください。
平屋なら手の届く範囲が広いので、伸縮する柄のついたブラシが1本あれば足ります。
高圧洗浄機を買うより安く、目地を傷める心配もありません。
現場でモルタルを使ってタイルを1枚ずつ貼る昔ながらの工法では、経年で剥落する事例がありました。
この心配が語られるのは、その記憶が背景にあります。
一条工務店の外壁タイルは、工場でパネルにタイルを固定してから現場に運ぶ方式です。
職人の腕によるばらつきが出にくく、現場貼りとは前提が違います。
ただしリスクがゼロになるわけではないので、10年ごとの定期点検で、浮きや割れがないかを見てもらうのが現実的な備えです。
最後に、この記事の要点をまとめます。
一条工務店の外壁については、売る側と塗る側の両方から情報が出ていて、どちらを信じればよいのか分かりにくくなっています。
ただ数字を並べてみると、争点は「塗るか塗らないか」ではなく、「30年後の目地にいくら用意しておくか」だけだと分かります。
金額が読めれば、あとは積み立てるだけです。
月3,000円という数字さえ持っておけば、30年後に慌てることはありません。
外壁の話は、そこまで整理して初めて意味が出てきます。





















