こんにちは、はちぱん住宅ラボのはるです。
一条工務店 → 住友林業 → 一条工務店と、これまでに3回家を建ててきました。
今の家で一条は2回目です。
同じメーカーをもう一度選んだ理由も含めて、実際に住んでわかったことを書いています。
数字や寸法は、できるかぎり自分で測ったものを載せています。
こんにちは、はちぱん住宅ラボのはるです。
一条工務店 → 住友林業 → 一条工務店と、これまでに3回家を建ててきました。
今の家で一条は2回目です。
同じメーカーをもう一度選んだ理由も含めて、実際に住んでわかったことを書いています。
数字や寸法は、できるかぎり自分で測ったものを載せています。
一条工務店と住友林業。
この2社で迷っている方は、とても多いと思います。
断熱性能で選ぶなら一条、木の質感と設計力で選ぶなら住友林業。
そこまではネットを少し調べれば、すぐに出てきます。
ただ、知りたいのはそこから先のはずです。
カタログの数字を並べた比較記事はいくらでも見つかるのに、その差が毎日の暮らしのどこに、どのくらいの大きさで現れるのかを書いたものが、ほとんど見当たらないからです。
この記事は、両社の家に実際に住んだうえで書いています。しかも一条には2回。
展示場で見た印象でも、片方だけ建てた人の推測でもありません。
スペックの比較は表で手短に済ませます。
本文で書くのは、冬の朝に布団から出るまでの数秒、夏の寝室の空気の重さ、木の質感に対する満足度が何年目にどう変わったか、間取りの制約が住んでから効いてきた場面と気にならなかった場面、そしてもう一度一条を選んだときの決め手まで、住んでみないと分からなかったことを中心に書きます。
先に、わが家が出した答えを書きます。
一条に戻った決め手は、冬の朝に家族が上着を羽織らなくてよくなることでした。
逆に、いまでも住友林業のほうが良かったと言い切れるものもあります。木の質感です。
順番はこうです。
一条工務店 → 住友林業(約4年)→ 一条工務店(現在)
先に断っておくと、4年で住み替えたのは、家の都合ではありません。
場所を移る必要が生まれただけで、住友林業の家に不満があったわけではないのです。
その4年間に、後悔はありません。
それでも戻り先に一条を選んだのは、住んでみた結果としてわが家の優先順位がはっきりしたからです。
「どちらが優れているか」ではなく「わが家の順位ではこうなった」という具体例として読んでください。
はちぱん


先に振り分けだけ置いておきます。
上の3行が当てはまるなら一条工務店、下の3行なら住友林業です。
理由は本文で書きます。
| 冬の朝の寒さを、家の性能で解決したい | 一条工務店 |
| 光熱費と設備を、契約前に数字で押さえたい | |
| 決めることを増やしたくない。標準の水準が高いほうがいい | |
| 木の質感を、毎日目に入るところに置きたい | 住友林業 |
| 間取りに見せ場をつくりたい。天井高や梁で抑揚をつけたい | |
| 打ち合わせで一つずつ選んでいく過程を楽しめる |
最初に、両社の性格を短く整理しておきます。
ここは他のサイトでも読める内容なので、深追いはしません。
大事なのは、この表のどの行があなたの暮らしに毎日触れてくる項目なのかを見極めることです。
というのも、比較検討の段階では、すべての項目が同じ重さに見えてしまうからです。
耐震も断熱も自由度も保証も、どれも大事に思える。
けれど住み始めると、毎日触る項目とほとんど意識しない項目に、はっきり分かれます。
| 一条工務店 | 住友林業 | |
|---|---|---|
| 強みの方向 | 断熱・気密・省エネ設備 | 木質感・設計自由度 |
| 標準仕様の考え方 | 高い水準をまとめて標準化 | 選択肢から組み立てる |
| 打ち合わせの性格 | 選ぶ/決める | つくる/描く |
| 太陽光・蓄電池 | 自社で用意する体制が厚い | 提案に応じて選定 |
| 価格の見え方 | 初期段階で見えやすい | 進むにつれて積み上がる |
| 向いている人 | 数値と光熱費を重く見る人 | 素材と間取りを重く見る人 |
この表を眺めると、両社は競合というより、優先順位の異なる2つの正解に見えてきます。
実際に住んでみた実感も、まさにそのとおりでした。
断熱性能の数値は、比較しやすい指標です。
数字が小さいほど熱が逃げにくい、という分かりやすさがあります。
ただ、住み始めてから気づいたのは、数値の差がそのまま体感の差になるわけではないということでした。
住友林業の家に住んでいたとき、性能に不満を感じたことはありませんでした。
冬に寒くて震えるようなことはありませんし、夏に冷房が効かないということもない。
当時は「住みにくい」と思ったことが一度もなかったのです。
ところが、一条の全館床暖房と断熱を経験してしまうと、もう戻れないくらい違います。
これは住友林業の家が悪かったという話ではありません。
比べる相手を知らなければ、不満は生まれないというだけのことです。
とはいえ、ここを誤解したまま「性能が低い家」という前提で比較すると、判断を間違えます。
現代の大手ハウスメーカーの家は、どこも一定の水準を超えています。
それでも差が出たのは、暖房や冷房を「動かしている時間」と「動かし方」でした。
同じ室温22度でも、どうやってその22度をつくっているかで、体の感じ方はまるで違います。
この違いは、カタログのどこにも書かれていません。
建てる前のわが家が気にしていたのは、耐震等級、断熱の数値、保証年数、外壁の種類といった項目でした。
比較表を自分でつくり、点数をつけるようなこともしました。
ところが実際に住み替えてみると、日々の満足度を動かしていたのは、まったく別の場所でした。
朝起きた瞬間の空気、脱衣所に入ったときの足の裏、洗濯物を干す場所の湿り気、リビングに座って目に入る天井の色。
数値化しにくいものばかりだったのです。
逆に、あれほど気にしていた保証年数や外壁の種類は、住み始めてから話題になったことがほとんどありません。
もちろん長期的には効いてくる項目ですが、入居してからの数年で満足度を左右するのは、もっと身体的な部分でした。
この記事の後半は、その身体的な部分に絞って書いていきます。
もうひとつ、住み替えて分かったことがあります。
それは、前の家で当たり前だったことが、次の家では当たり前ではなくなるという体験の強さです。
1軒しか建てていなければ、その家のやり方が基準になり、比べようがありません。
1軒目の一条から住友林業へ移って初めて、前の家が自分に何を与えてくれていたのかが見えてきました。
そしていま一条に戻って、今度は住友林業が与えてくれていたものが見えています。
坪単価と価格差は、この2社を比べるときに最も検索されている論点です。
ただ、坪単価という数字は何を含めて割ったかで簡単に上下するので、単体で比べても意味がありません。
ここでは、金額そのものではなく差が生まれる仕組みを整理します。
なお、このブログでは建築費の総額は公開していません。
金額そのものは土地条件・時期・地域・仕様で大きく変わり、他人の総額を参考にすると判断を誤りやすいためです。
そのかわり、どこにお金が乗るのかという構造は、できるだけ具体的に書きます。
先に結論を書いておくと、この2社の価格差は「高い・安い」ではなく「いつ確定するか」の差として現れました。
一条は早い段階で金額が固まり、住友林業は打ち合わせが進むほど輪郭がはっきりしていく。
この違いを知らずに比較を始めると、初期の見積もりだけを見て判断してしまうことになります。
一条工務店の価格の特徴は、高性能な部分があらかじめ標準に組み込まれていることです。
断熱材、サッシ、床暖房、換気システムといった、あとから足すと高額になるものが、最初から入った状態で見積もりが出てきます。
この構造の良いところは、打ち合わせが進んでも金額が跳ねにくいことです。
わが家の実感としても、初期に提示された金額と、最終的な金額の距離が近い。
資金計画を先に固めたい家庭にとって、これは想像以上に大きな利点でした。
一方で、標準の水準が高いぶん、「そこまでの性能はいらない」と思っても価格を下げにくいという面もあります。
ここは好き嫌いが分かれるところで、性能に価値を感じない人にとっては割高に映るはずです。
ただ、住宅ローンを組む立場から見ると、この「動きにくさ」には別の意味があります。
借入額を確定させるタイミングが早いということは、返済計画を落ち着いて検討できる期間が長いということです。
金額が最後まで動く家づくりは、それだけで判断が急かされます。
住友林業で建てたときに感じたのは、打ち合わせそのものが家づくりの中心にあるということでした。
床材ひとつ、建具ひとつ、天井の見せ方ひとつを、設計担当と一緒に決めていく。
この時間は本当に楽しく、家づくりをしている実感がありました。
ただし、楽しさと金額は連動します。
良いと感じたものを選ぶたびに、見積もりは上がっていく。
これは住友林業の欠点ではなく、選択肢を多く持つ会社の必然です。
わが家も、当初の想定より上振れした自覚があります。
これから検討する方にお伝えしたいのは、初期見積もりの段階で「上限額」を担当者に共有しておくことです。
上限を伝えておけば、提案の方向性そのものが調整されます。
後から削る作業は、精神的にかなりつらいものになります。






光熱費は、両社を比べるうえで最も実感しやすい差でした。
先に前提を書いておきます。
住友林業の家にも太陽光は載せていました。
つまりこの比較は「太陽光のある家」どうしの比較です。
ただし条件はそろっていません。
いまの一条の家は太陽光13.475kWに蓄電池を組み合わせていて、搭載量も蓄電の有無も当時とは違います。
※住友林業時代の検針票は手元に残っていないため、金額を並べた比較はできません。
なので、ここで書けるのは金額ではなくお金の出方の変化です。
ネット上の「一条にしたら電気代が半分になった」という比較の多くは、築年数も設備構成も違う家との比較です。
条件がそろっていない数字は、参考にはなっても判断材料にはなりません。
いちばん違いを感じたのは、冬の請求額を見るときの心理でした。
住友林業の家に住んでいたころは、1月と2月の請求書を開くときに少し身構える感覚がありました。
エアコン暖房を長時間動かすので、寒い月だけが突出して高くなるからです。
いまの一条の家は、全館床暖房をシーズン中ほぼ動かし続けています。
電気の使用量そのものは決して少なくありません。
それでも、太陽光と蓄電池が入ったことで、請求額を見るときの緊張感がなくなりました。
ここで正直に書いておきます。
住友林業の家にも太陽光は載せていたので、「太陽光の有無」がこの差を作ったわけではありません。
効いたのは、蓄電池を入れたかどうかでした。
正直に書くと、全館床暖房にしてから、電気の使用量そのものはむしろ増えています。
家じゅうを24時間暖め続けるので、当然です。
それでも請求額が落ち着いたのは、太陽光の搭載量を増やし、蓄電池で昼の電気を夜に回せるようになったからです。
太陽光を載せただけだった住友林業の家では、冬の請求はやはり月ごとに上下しました。
昼につくった電気は、その日のうちに使わなければ売るしかありません。
暖房が本当に要るのは日が落ちてからなので、太陽光だけでは冬の夜をまかなえないのです。
金額そのものより、月によって上下しなくなったことのほうが、家計としては扱いやすい変化でした。
ここは会社選びというより、蓄電池まで含めて設計したかどうかの差です。
もうひとつ、一条を選んだ理由があるとすれば、この構成を一社の中で完結させやすかったという点でした。
屋根形状と太陽光の設計、蓄電池の容量、床暖房の熱源。
これらを別々に検討せずに済むのは、施主にとってかなり楽です。
ここは反省でもあります。
住友林業のときは、太陽光を載せたところで止まっていました。
蓄電池まで含めて設計しておけば、あの家でも同じ景色が見えていたかもしれません。
ランニングコストという言葉で光熱費だけを見ていると、あとで足をすくわれます。
実際にかかってくるのは、光熱費、外壁や屋根の維持費、設備の更新費、そして固定資産税や保険料です。
| 項目 | 効いてくる時期 | 比較で見るポイント |
|---|---|---|
| 光熱費 | 入居直後から毎月 | 暖冷房の方式と太陽光の有無 |
| 外壁・屋根の維持 | 10年目以降 | 外壁材の種類と再塗装の要否 |
| 設備の更新 | 10〜15年目 | 給湯器・空調・蓄電池 |
| 点検・保証延長 | 10年目の節目 | 延長条件と有償工事の範囲 |
| 火災保険 | 毎年 | 構造区分による差 |
この表で見落とされやすいのが、10年目の節目にまとめて費用が来るという点です。
光熱費が毎月数千円変わることより、10年目に一度に必要になる金額のほうが、家計へのダメージは大きくなります。
ファイナンシャルプランナーとして資金計画を見る立場から言うと、この10年目の支出を住宅ローンの返済計画に織り込んでいない家庭が多いのが実情です。
両社を比較するときは、外壁材の種類と保証延長の条件をしっかり確認しておくと、あとで慌てずに済みます。
ここからが、この記事の本題です。
両方に住んでみて、いちばん違いを感じたのは、数字ではなく身体の感覚でした。
しかもその差は、1日のうちのごく短い時間に集中して現れます。
誤解のないように書いておくと、住友林業の家が寒かったわけではありません。
冬でもきちんと暖かく過ごせていました。
それでも違いを感じたのは、暖かさが「そこにあるもの」なのか「つくりにいくもの」なのかという質の差です。
この違いは、性能値の高さとは別の軸にあります。
断熱がしっかりしていれば、暖房を止めても温度は落ちにくい。
けれど「落ちにくい」と「落ちない」のあいだには、生活の実感としてはっきりした線があります。
その線を越えているかどうかが、朝と夜の感じ方を分けていました。
住友林業の家に住んでいたころ、冬の朝はまず暖房のスイッチを入れていました。
部屋が暖まるまでの十数分は、布団の中で待つ。
妻は、上着を羽織って動き出すこともありました。
朝の一手間として、それが当たり前だと思っていたのです。
いまの家に移って変わったのは、その「待つ時間」と「上着を羽織る動作」が、家から消えたことです。
布団を出た瞬間の床が冷たくない。
廊下に出ても温度が落ちない。
だから、家の中で上着を探すという発想そのものがなくなりました。
数字にすれば、室温の差は数度でしかないと思います。
けれどひと冬で100回以上くり返される数秒は、体感としてかなり大きい。
特に冬の朝が苦手な家族がいる家庭では、この差が満足度を大きく動かします。
逆に言えば、朝の一手間をまったく苦にしない家庭にとっては、この差にお金を払う価値は小さいということでもあります。
ここは本当に人によります。
夏に差を感じたのは、温度ではなく湿度でした。
住友林業の家では、夜にエアコンを弱めに設定して寝ると、明け方に空気が少し重く感じることがありました。
逆に強くすると今度は寒くて目が覚める。
ちょうどいい設定を探し続けていた記憶があります。
いまの家では、うるケアの加湿機能に注目が集まりがちですが、実際に効いていると感じるのは夏の空気の質のほうです。
寝室のドアを開けたときの、あのむわっとした感じが少ない。
枕元の湿度計を見ても、明け方に大きく振れることが減りました。
この差は、家全体の空気が一体になっているかどうかで生まれているのだと思います。
部屋ごとに空調を効かせる家では、締め切った寝室だけが独立した空気の島になる。
その島の湿度は、どうしても上がりやすくなります。
ただしこれも、住友林業だからそうなるという話ではありません。
全館空調を入れれば同じことができますし、実際にそうしている方もいます。
差はメーカー名ではなく、空調の考え方にあります。
ここは、住友林業を選ぶ人がいちばん知りたい部分だと思います。
そして、この記事で唯一、一条に戻ったいまも「あれは良かった」と言い切れる項目でもあります。
木の質感というのは、写真では伝わりません。
展示場で見ても、正直なところ「きれいだな」で終わってしまう。
それが暮らしの中でどう効いてくるのかは、住んだ年数によって変わっていきました。
比較サイトでは、この項目はたいてい「住友林業は木の質感が良い」の一行で終わっています。
けれど検討している方が知りたいのは、その良さが3年後、5年後にも続いているのかという点です。
ここは、実際に住んで、そして手放してみないと書けない部分だと思います。
入居してしばらくは、リビングに座るたびに天井を見上げていました。
朝の光が入る角度で木の色が変わるので、時間帯によって部屋の表情が違う。
家に帰るのが楽しいという感覚が、はっきりありました。
ただ、正直に書くと1年ほど経つと、その感動は日常に溶けていきました。
これは悪い意味ではなく、良いものが生活の背景になったということです。
意識して見上げる回数は減りましたが、部屋にいるときの落ち着きは残り続けました。
このあたりで「木の質感にお金を払う価値はあったのか」と自問した時期もあります。
結論から言うと、その問いが浮かぶこと自体が、価値が背景に回った証拠でした。
失って初めて分かる種類のものだったのです。
ここは、家づくりの満足度を考えるうえで大事な視点だと思っています。
設備や機能は使うたびに効果を実感しますが、素材の質感は「効いている実感」が薄いまま効き続けるタイプの価値です。
だから費用対効果を計算しようとすると、どうしても割に合わないように見えてしまいます。
いまの一条の家に移って、いちばん寂しく感じたのがここです。
性能面では文句なしに満足しているのに、部屋を見渡したときの「質感の深さ」は、正直に言えば前の家のほうが上でした。
一条の内装が悪いわけではありません。
整っていますし、清潔感もあります。
ただ、木そのものが持つ不均一さ、節の入り方、経年で色が深くなっていく感じ。
そういうものは、設計と素材にコストをかけた家にしか出せないと感じます。
いまの家では、造作の一部や家具でその不足を補っています。
木の質感を強く求める方には、後から取り戻すのが最も難しい要素だとお伝えしておきます。
断熱性能は設備で補える部分がありますが、素材の質感は建てるときにしか決められません。






一条工務店の弱点として、決まって挙げられるのが設計の自由度です。
規格の制約があり、住友林業のように自由に描けない。
これは事実です。
ただ、住んでみると制約が効いてくる場面は、思っていたよりずっと限られていました。
逆に、想定していなかったところで効いてきた場面もありました。
ここを分けて書きます。
検討中に不安になるのは、「制約がある」という言葉だけが独り歩きしているからだと思います。
制約という言葉は、何がどこまでできないのかを教えてくれません。
そこで、わが家の間取りを具体例にして、どこで困り、どこで困らなかったのかを書きます。
この判断は、住んだ家の広さや家族構成でも変わってきます。
いまの家は33坪の平屋で、LDKが22帖、隣に和室が6帖あります。
洗面所を中心にした回遊動線にしていて、キッチンから洗面所、洗面所から寝室側へ、行き止まりなく回れる形です。
この動線をつくるときに、規格の制約で困った記憶はほとんどありません。
暮らしやすさを決めているのは、部屋の形の自由さではなく、部屋と部屋のつなぎ方でした。
つなぎ方は、規格の中でも十分に設計できます。
住友林業の家では、もっと自由に設計できました。
けれど住んでみると、自由に決めた部分より、洗濯機から物干し場までの歩数のような、地味な設計のほうが毎日の満足度に効いていました。
この気づきは、2軒目を経験しないと得られなかったと思います。
家事動線という言葉は使い古されていますが、実際に効くのは1日に何十回も通る経路が1本つながっているかどうかだけです。
そこさえ押さえてあれば、部屋の形が四角いことは問題になりません。
逆に、いくら自由に設計できても、行き止まりが多い間取りは毎日じわじわ効いてきます。
一方で、はっきり制約を感じた場面もあります。
それは「この一角を特別な空間にしたい」と考えたときでした。
天井の高さを一部だけ変える、梁を見せる、大きな開口を非対称に取る。
こうした空間に抑揚をつける設計は、住友林業のほうが明らかに得意です。
いまの家は快適ですが、間取り図を見たときの面白さという点では、前の家に届きません。
ここで考えたいのは、その見せ場が、毎日どのくらい効くのかという点です。
来客が多い家庭、家で過ごす時間が長い家庭、写真を撮るのが好きな家庭では、見せ場の価値は高くなります。
逆に、共働きで日中は家にいない家庭では、見せ場より体感と光熱費のほうが効いてきます。
わが家は後者でした。
だから制約を受け入れる判断ができた、というだけの話です。
判断のしかたとしては、いま住んでいる家で、1日のうちどこに何時間いるかを書き出してみるのがおすすめです。
リビングに長くいるなら、リビングの見せ場には価値があります。
寝るために帰ってくるだけの生活なら、その予算は体感や光熱費に回したほうが満足度が上がります。
建てる前は、あまり真剣に考えていなかった項目です。
ところが2社を経験すると、点検やメンテナンスの進み方には、はっきりと会社ごとの性格が出ることが分かりました。
ここは営業担当や支店によって差が出る部分でもあるので、あくまで「わが家が経験した範囲」として読んでください。
それでも、比較検討の段階で何を聞いておくべきかの参考にはなるはずです。
メンテナンスの話が後回しにされやすいのは、契約前には実感が湧かないからです。
10年後の外壁の話をされても、まだ建ってもいない家の未来は想像しにくい。
けれど住宅ローンの返済が続いている最中に、その費用はやってきます。
ここを最初に確認しておくかどうかで、10年後の家計はかなり変わります。
ランニングコストを考えるとき、外壁の考え方の違いは押さえておきたい部分です。
タイル系の外壁は初期費用が上がるかわりに、再塗装の周期を長く取れるという性格を持っています。
塗装仕上げの外壁は初期費用が抑えられるかわりに、定期的な塗り替えが前提になります。
どちらが得かは、その家に何年住むつもりかで答えが変わります。
20年以上住むならタイル系が有利になりやすく、10年前後で住み替える可能性があるなら初期費用を抑えるほうが合理的です。
資金計画を立てる立場から補足すると、外壁の再塗装は住宅ローンの返済期間中にやってくるという点が重要です。
ローン返済と教育費と外壁塗装が同じ年に重なると、家計はかなり苦しくなります。
比較の段階で、10年目・20年目に想定される工事と概算を両社に出してもらうと、判断材料がそろいます。
定期点検の頻度は、両社ともパンフレットに書かれています。
けれど住んでみて重要だったのは、頻度そのものではありませんでした。
担当者が代わったときに、過去のやり取りがきちんと引き継がれているかどうか。
ここが、その後の付き合いやすさを決めます。
引き継ぎが弱いと、以前伝えた内容を毎回一から説明することになり、それだけで気持ちがすり減ります。
わが家の経験では、記録の残り方は会社の規模より支店ごとの運用に左右されている印象でした。
だからこそ、契約前に「入居後の窓口はどこになるのか」「担当者が異動したらどうなるのか」を聞いておくことをおすすめします。
この質問への答え方で、その支店の体制はかなり見えてきます。
設備の更新についても同じです。
給湯器や空調、蓄電池は、10年から15年で更新の話が出てきます。
そのときに窓口を一本化できるかは、想像以上に効いてくる要素でした。
ここまで書いてきたことを、判断できる形にまとめます。
この2社は、比べて優劣がつくものではなく、何を上に置くかで答えが変わる関係です。
だから、まず自分の家庭の順位を決めるところから始めるのが近道になります。
順位を決めずに比較を続けると、いつまでも決まりません。
どちらの営業担当の説明にも納得できてしまい、比べるほど迷いが深くなるからです。
比較表を埋める作業ではなく、家族で順位を話し合う時間のほうが、はるかに近道でした。
| あなたが重く見るもの | 向きやすいのは |
|---|---|
| 冬の朝と夏の夜の体感 | 一条工務店 |
| 光熱費と太陽光・蓄電池 | 一条工務店 |
| 初期に金額を固めたい | 一条工務店 |
| 木の質感と内装の深み | 住友林業 |
| 空間に抑揚をつけたい | 住友林業 |
| 打ち合わせを楽しみたい | 住友林業 |
先に、住友林業のほうが合っていると思う家庭を書きます。
わが家は一条に戻りましたが、それは住友林業が悪かったからではありません。
住友林業が向いているのは、家にいる時間が長く、目に入るものの質を大事にする家庭です。
在宅で仕事をする、来客が多い、家の中で過ごす趣味がある。
こういう家庭では、素材の質感が毎日効いてきます。
もうひとつは、打ち合わせを楽しめる家庭です。
決めることが多いぶん時間はかかりますが、その過程そのものを楽しめるなら、住友林業の家づくりは満足度が高くなります。
逆に、決めごとが負担に感じるタイプなら、標準の水準が高い会社のほうが向いています。
そしてもし住友林業を選ぶなら、蓄電池まで含めた話を早い段階で出しておくことをおすすめします。
太陽光は載せられても、蓄電池をあとから足そうとすると、パワコンや設置場所の関係で選択肢が狭まることがあります。
わが家の反省点は、ここに尽きます。
最後に、なぜ戻ったのかを書きます。
決め手は、性能の数値でも坪単価でもありませんでした。
家族の誰も、家の中の温度について話さなくなる。その状態を、もう一度つくりたかったからです。
寒い、暑い、エアコンをつけて、消して。
そういう会話が生活から消えることの価値を、住み替えて初めて理解しました。
もうひとつは、太陽光と蓄電池を含めた電気の設計を、一社の中でまとめられることでした。
いまの家では太陽光13.475kWに加えて蓄電池を組み合わせており、電気を買う量そのものを設計でコントロールできている感覚があります。
ファイナンシャルプランナーとして家計を見てきた立場では、この安定感はかなり大きい価値でした。
ただし、繰り返しになりますが、これはわが家の順位です。
木の質感を毎日感じられる家に住みたいという順位の家庭なら、答えは住友林業になります。
そしてその選択も、わが家は4年間、心から気に入っていました。
最後に、いま両社で迷っている方に向けて、実際にやっておいてよかったことを整理します。
特に3番目は、両方に住んだ立場から強くおすすめします。
この記事に書いた体感の差は、文章では2割も伝えられていません。
朝起きた瞬間の空気は、実際にその家で一晩過ごさないと分からないものです。
一条工務店と住友林業は、どちらも真剣に家をつくっている会社です。
比較の目的は勝ち負けを決めることではなく、自分の家庭が何を上に置くのかをはっきりさせることにあります。
この記事が、その順位づけの材料になればうれしいです。





