「HEMSって何?導入にはどれくらいお金がかかるの?」
これから家づくりやリフォームを検討している方なら、一度はこんな疑問を持ったことがあるかもしれません。
特に2026年度の住宅補助金「みらいエコ住宅2026事業」では、最も補助額の大きいGX志向型住宅の必須要件としてHEMS(高度エネルギーマネジメント)の導入が求められています。つまりHEMSは「あると便利な設備」ではなく、補助金を受け取るためのカギになっているんです。
この記事では、HEMSとは何か?から、導入費用のリアルな目安、後付けの可否、2026年度の補助金制度、一条工務店での対応状況まで、FP資格を持つ一条施主の管理人が徹底的にわかりやすく解説します。
HEMSとは?|家庭のエネルギー管理をスマートにするシステム

HEMS(ヘムス)とは、Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)の略称です。
簡単に言うと、家庭内のエネルギー使用状況を見える化して、電気やガスの無駄遣いを防ぎ、省エネ生活をサポートしてくれるシステムです。
■ HEMSの主な役割
- ✔ 家庭の消費電力をリアルタイムでモニターできる
- ✔ スマホアプリなどから家電を遠隔操作できる
- ✔ 太陽光発電・蓄電池などとの連携管理ができる
- ✔ 電気料金の最適化に役立つ
HEMSがあることで、電気の使い過ぎに気づきやすくなり、結果的に光熱費の節約にもつながるのが最大のメリット。
さらに、今後普及が進むスマートホーム化の中心的な存在としても期待されています。
【2026年最新】HEMSと補助金制度|「みらいエコ住宅2026事業」でも必須要件に

■ 2025年度の「子育てグリーン住宅支援事業」は受付終了
まず大前提として、2025年度にGX志向型住宅へ最大160万円を補助していた「子育てグリーン住宅支援事業」は、予算上限到達により2026年2月16日で交付申請の受付を終了しました。
「160万円もらえる」という情報はすでに過去のものなので、これから建てる方は以下の新制度で考える必要があります。
■ 後継制度「みらいエコ住宅2026事業」とは?
2025年11月28日に国土交通省・経済産業省・環境省の3省連携で発表された、「住宅省エネ2026キャンペーン」の新築向け補助制度です。ポイントは次のとおり。
| 項目 | 2025年度(子育てグリーン) | 2026年度(みらいエコ住宅2026) |
|---|---|---|
| GX志向型住宅の補助額 | 一律 最大160万円 | 最大125万円(地域区分による。一般地域は110万円) |
| 対象世帯(GX志向型) | 全世帯 | 全世帯(制限なし) |
| 長期優良住宅・ZEH水準住宅 | 子育て・若者夫婦世帯 | 子育て・若者夫婦世帯 |
| HEMS(高度エネマネ) | 必須要件 | 引き続き必須要件 |
| 申請期間 | 〜2026年2月16日で終了 | 第2期:2026年5月13日〜12月31日(予約は11月30日まで) |
補助額は160万円→125万円(一般地域110万円)に減額されたものの、GX志向型住宅は引き続き「全世帯対象」で、新築系補助金では最も手厚い枠です。
ただし2025年度も予算消化で早期終了した実績があるため、検討中の方は早めに動くのが鉄則。最新の予算消化状況はみらいエコ住宅2026事業の公式サイトで必ず確認してください。
■ GX志向型住宅の4つの要件|HEMSはここに入っている
- 断熱等性能等級6以上
- 再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率35%以上
- 再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率100%以上
- 高度エネルギーマネジメント(HEMS)の導入
つまり、HEMSを入れない=GX志向型住宅の補助金はもらえないという構図は2026年度も変わっていません。
導入費用が15〜30万円かかっても、補助金で100万円超が受け取れるなら差し引きで大きくプラス。FP的に見ても、これは「入れない理由を探すほうが難しい」設備です。
※「GX志向型住宅」の要件や申請の流れは、以下の記事で詳しく解説しています。
▶ GX志向型住宅とは?補助金・対象条件をわかりやすく解説
■ 蓄電池とセットで考えるなら「DR補助金」もチェック
HEMSと相性のいい家庭用蓄電池には、経済産業省系のDR補助金(蓄電池の導入支援)という別枠があります。2026年度は1kWhあたり3.45万円・最大60万円程度の水準です(HEMS本体の費用は対象外)。
「太陽光+蓄電池+HEMS」のフル構成を考えている方は、住宅本体の補助金と併せて検討する価値があります。
※蓄電池について実体験ベースで知りたい方はこちら。
▶ 【一条工務店/実体験】蓄電池2台目は必要?家を3回建てた私が選んだ結論
HEMS導入費用はいくら?|相場と費用内訳を詳しく解説
次に気になるのがHEMS導入にかかる費用ですよね。
結論から言うと、HEMSの導入費用は10万円〜30万円程度が一般的な相場です。
■ HEMS導入費用の目安
- ✔ システム本体価格:5万〜15万円前後
- ✔ 設置工事費:3万〜10万円前後
- ✔ 配線工事・追加センサー機器:必要に応じてプラス数万円
導入する住宅の規模や、どこまで機器連携するかによって金額は変わります。
例えば、太陽光発電や蓄電池と連携する場合は、対応機器や設定コストが追加されるため、トータルで30万円〜50万円を超えるケースもあります。
なお、新築住宅なら建築時に同時設置するほうが割安になるケースがほとんどです。
HEMSは後付けできる?|リフォーム・既築住宅の場合
「もう家を建ててしまったけど、HEMSを後付けしたい」という方も多いはず。結論、HEMSの後付けは可能です。ただし以下の点に注意してください。
- ✔ 分電盤の交換や計測ユニットの追加が必要になる場合があり、新築時より工事費が高くなりがち(目安:15万〜25万円程度)
- ✔ 太陽光・蓄電池・エコキュートなど既存設備との連携可否はメーカー間の対応規格(ECHONET Lite)次第。事前確認が必須
- ✔ 後付け単体では住宅系補助金の対象になりにくく、蓄電池等とセットの導入で補助制度を使うのが現実的
後付けを検討する場合は、電気工事店に「見える化だけしたいのか」「機器制御までしたいのか」を伝えて見積もりを取るのがスムーズです。目的によって必要な機器がまったく変わり、費用も大きく変わります。
一条工務店のHEMS対応状況
一条工務店でも、HEMSへの対応は進んでいます。GX志向型住宅の要件化を受けて、HEMS標準搭載または対応オプションの導入が前提になりつつあります。
私が一条工務店の担当者に確認した際(2025年4月時点)は、「一条工務店の標準HEMS機器でGX志向型住宅の補助金申請をしている」との回答でした。
制度が「みらいエコ住宅2026事業」に切り替わった現在も考え方は同様と考えられますが、機種指定や仕様変更が入る可能性があるため、契約前に必ず営業担当へ最新情報を確認してください。ここは金額が大きいだけに、口頭ではなく書面やメールで残しておくのがおすすめです。
HEMSは必要?導入のメリットとデメリットを整理
■ メリット
- ✔ 電気代を「見える化」でき、節電意識が高まる
- ✔ 自動制御で無駄な電力使用を防げる
- ✔ 太陽光・蓄電池と連携すれば効率的な自家消費が可能
- ✔ GX志向型住宅の補助金要件を満たせる(2026年度も必須要件)
■ デメリット
- ✔ 初期費用が10万〜30万円と安くはない
- ✔ スマホアプリや操作に慣れるまでやや学習コストがかかる
- ✔ 家電との完全連携にはメーカー対応が必要な場合も
ただし最近は操作性も非常にシンプルになってきており、家づくり初心者でも扱いやすくなっている印象です。
そして何より、補助金制度の存在によって「HEMSを導入しないデメリットのほうが大きい」状況は2026年も続いています。
HEMSのよくある質問(FAQ)
Q1. HEMS単体で使える補助金はある?
2026年8月時点で、HEMS単体を対象にした国の補助金は基本的にありません。HEMSは「みらいエコ住宅2026事業(GX志向型住宅の必須要件)」のように住宅全体の補助金の要件として組み込まれる形が主流です。自治体独自の補助(東京都など)が出る場合もあるので、お住まいの自治体の制度も確認してみてください。
Q2. HEMSを入れると電気代はどれくらい下がる?
HEMS自体が電気を減らすわけではなく、「見える化」によって行動が変わることで、一般に数%〜10%程度の省エネ効果が期待できるとされています。太陽光・蓄電池と組み合わせて自家消費を最適化すると、効果はさらに大きくなります。
Q3. 2026年度の補助金はいつまでに申請すればいい?
みらいエコ住宅2026事業の第2期は2026年5月13日〜12月31日(交付申請の予約は11月30日まで)です。ただし予算上限に達し次第終了となるため、期限より「予算の残り」が実質的な締切です。着工スケジュールと合わせて早めにハウスメーカーへ相談を。
Q4. 賃貸や既築マンションでもHEMSは使える?
分電盤工事が必要なフル機能のHEMSは難しいですが、コンセント型のスマートプラグやスマートリモコンで「簡易的な見える化」は可能です。まずは手軽な機器から試して、引っ越しや建て替えのタイミングで本格導入するのも賢い選択です。
HEMSで実際にできること|「見える化」の中身
「見える化」と言われても、具体的に何が見えるのかイメージしづらいと思います。
実際にHEMSの画面で確認できるのは、おおむねこういった情報です。
| 見えるもの | 何がわかるか | 実用度 |
|---|---|---|
| 現在の消費電力 | 今この瞬間、何Wを使っているか | ★★★☆☆ |
| 太陽光の発電量 | 今どれだけ発電しているか | ★★★★★ |
| 売電・買電の状況 | 今は売っているのか買っているのか | ★★★★★ |
| 蓄電池の残量 | あと何時間もつか | ★★★★☆ |
| 回路別の使用量 | どの部屋・どの家電が食っているか | ★★★★★ |
| 月別・年別の推移 | 去年の同じ月と比べてどうか | ★★★☆☆ |
効果が大きいのは「回路別の使用量」です。
家全体の合計だけを見ても行動は変わりませんが、「エアコンだけで全体の4割を使っている」と数字で出ると、対策が具体的になります。
そしてもう1つ、太陽光がある家では「今、売っているか買っているか」がリアルタイムでわかるのが決定的です。
これがわかると、食洗機や洗濯乾燥機を回すタイミングを、発電している時間帯に寄せられます。
売電単価が下がった後は、この判断が電気代に直結します。
はる(管理人)太陽光・蓄電池とセットで真価が出る
HEMS単体だと、正直なところ「省エネ意識が高まる」以上の効果は限定的です。
本当に価値が出るのは、太陽光・蓄電池と連携して「電気の使い方を自動で最適化する」段階に入ってからです。
| 構成 | HEMSの役割 | 効果 |
|---|---|---|
| HEMSのみ | 見える化 | 数%程度の省エネ |
| HEMS+太陽光 | 発電と消費のマッチング | 自家消費率が上がる |
| HEMS+太陽光+蓄電池 | 充放電の自動制御 | 買電を最小化できる |
特に重要なのが蓄電池の充放電制御です。
- 安い深夜電力で充電する
- 高い時間帯は蓄電池から使う
- 天気予報を見て、翌日が雨なら多めに充電しておく
これを手動でやるのは現実的ではありません。
HEMSがあって初めて、自動化された運用が成立します。
わが家の光熱費の実データは別記事にまとめているので、あわせてどうぞ。
【実データ公開】一条工務店の電気代は本当に安い?太陽光13.45kW+蓄電池7kWhの月別収支
将来のEV・V2Hも視野に入れる
これから10年、20年住むことを考えるなら、電気自動車(EV)との連携も検討材料になります。
V2H(Vehicle to Home)は、EVのバッテリーを家の蓄電池として使う仕組みです。
EVのバッテリー容量は家庭用蓄電池の数倍あることも珍しくありません。
今すぐEVを買う予定がなくても、駐車場までの電気配線や、分電盤の空き容量だけは確保しておくと将来の選択肢が残ります。
後から配線を通すのは、壁や地面を壊す工事になります。
導入しない場合の「機会損失」を計算する
費用の話をするとき、「導入費用」だけを見ると判断を誤ります。
比べるべきは「入れなかった場合に失うもの」です。
| HEMSあり | HEMSなし | |
|---|---|---|
| 導入費用 | −15〜30万円 | 0円 |
| GX志向型住宅の補助金 | 受給できる | 受給できない |
| 省エネ効果(年間) | 数%〜10%程度 | — |
| 蓄電池の自動制御 | できる | 手動運用のみ |
ここで効いてくるのが補助金の存在です。
HEMSはGX志向型住宅の必須要件なので、入れなければ補助金そのものが受け取れません。
導入費用が15〜30万円かかっても、補助額が100万円規模なら、差し引きで大きくプラスになります。
つまり判断はこうなります。
- GX志向型住宅を狙う → HEMSは実質「必ず入れるもの」。悩む余地がない
- 補助金を狙わない → 費用対効果で純粋に判断してよい
※補助金の要件・金額・予算状況は変わります。必ず公式サイトと施工会社で最新情報を確認してください。
打ち合わせで確認すべき5項目
HEMSは後から入れると分電盤の工事が必要になる設備です。
新築時に決めておくべきことを整理しました。
- 「標準のHEMS機器で、補助金の要件を満たしますか?」
——最重要。金額が大きいので書面かメールで残す - 「回路別の計測は何回路までできますか?」
——細かく見たいなら回路数が効いてきます - 「蓄電池・太陽光と連携できますか?」
——メーカーが違うと連携できないことがあります - 「スマホアプリから何ができますか?」
——外出先で確認できるかは使い勝手に直結 - 「将来EVを入れる場合、配線はどうなりますか?」
——駐車場への配線・分電盤の余裕を確認
特に1番目は必ず記録に残してください。
補助金は「要件を満たしていなかった」となった時点で、後からリカバリーできません。
金額が大きいだけに、口頭確認だけで済ませるのは危険です。






まとめ|HEMS導入は費用だけでなく”制度とのセット”で考えよう
HEMSは、単なる電気の見える化システムではありません。
住宅性能評価・補助金制度に直結する重要な住宅設備の一つです。
2026年度は「みらいエコ住宅2026事業」への制度切り替えで補助額こそ縮小しましたが、GX志向型住宅×HEMSが最も手厚い補助への入り口である構図は変わっていません。
特に一条工務店のように標準対応が進んでいるハウスメーカーであれば導入のハードルも低く、補助金申請との相性も抜群です。ぜひ「HEMS込み」で家づくりの計画を立ててみてください。
※本記事の制度情報は2026年8月時点のものです。補助金の金額・要件・期限は変更される場合があるため、申請前に必ず公式サイトおよび施工会社で最新情報をご確認ください。


